Andrew Reisseを偲んで

2013年5月30日、私たちの大切な友人であり家族のような絆で結ばれていた、Oculus社の共同設立者であるAndrew Reisseが亡くなりました。

Andrewは優れたCGエンジニアであり、熱心な写真家(1)、自然を愛するハイカー、そして誠実な友人でした。Andrewはたくさんの魅力にあふれた類いまれな人でした。並外れて親切で、献身的でもありました。周囲の誰もが彼に助言を受けたり、触発されたりしました。

Oculusの何人かは学生時代からAndrewを知っており、いくつかの会社で彼と一緒に働いてきました。Andrewが19歳で設立に貢献したメリーランド州のScaleformをはじめ、Andrewをカリフォルニア州に呼び寄せたアリソビエホのGaikai、そして最後はAndrewが共同設立者兼リードエンジニアとして活躍したOculusです。

Andrewの貢献は、ビデオゲーム業界全体に及んでいます。彼のコードは、世界中で何百万という人がプレイする、何千ものゲームに埋め込まれています。

Oculusができるまで

Andrewは、メリーランド大学カレッジパーク校でコンピューターサイエンスを学んでいた1年生の2学期に、寮でMichael Antonovと同室になりました。Andrewはゲームが大好きでしたが、それ以上に、その背景にあるテクノロジーを愛していました。単なる趣味で、Quakeのマップを読み込める独自の3Dレンダリングエンジンを作っていました。同じ年に、2人はBrendan Iribeに出会ってゲーム開発者用のUIシステムを作り始めました。そのシステムが最初に使われたのはCivilization IVで、その後、Scaleform GFxになり、何千ものビデオゲームで使われることになったのです。

Andrewは自由な考えの持ち主で、自分の考えと理想に忠実でした。彼は、オープンソースのサイドプロジェクトに貢献できる社員の能力を制限する企業の契約に反対でした。そうした契約を結ぶようAutodeskに迫られたとき、Andrewはそれよりも、カリフォルニアにあるクラウドストリーミング会社、GaikaiでBrendanに合流する道を選びました。その1週間後、MichaelとNateがAndrewとBrendanに加わって、チームはGaikaiのクラウドゲームプラットフォームとSDKの開発に取り組みました。そしてその後、Oculusを設立したのです。Andrewはその間ずっと、オープンソースプロジェクトに取り組み続けました。

Oculusにて

Andrewが、Oculusが開発したソフトウェアとハードウェアに与えた影響は計り知れません。Oculus SDK、Unreal Engineの統合、Hawken VR、さらには会社が発足以来紹介してきたほぼすべてのデモにおいて、彼は先頭に立っていました。その実績にもかかわらず、Andrewは自慢したり鼻にかけたりすることがありませんでした。会社でプログラムを書いていないときのAndrewは、勉強をしたり、お気に入りのウェブサイト(slashdot.org)を読んだり、チームメンバーのブレインストーミングや新機軸の導入を助けたりしました。

Andrewは、私たちが築いているものの価値を信じていました。そのおかげでチームはいつも、自分たちにできると思っていた以上の結果を出すことができました。

Andrewは、本来そうなるべき時期よりもはるかに早く、私たちのそばを去ってしまいました。彼がどれほど強く惜しまれ、私たちがご家族にどれほど深くお悔やみの念をお伝えしたいか、言葉では表現できません。

Andrew、あなたはいつも私たちの心の中にいます。あなたを決して忘れません。私たちはあなたを愛しています。

(1) Andrewの写真は www.reisse.netで見ることができます。

Andrewの家族からの手紙

Andrewの両親、また兄弟として、世界中の人からいただいたお悔やみと思いやりのすべてに感謝します。Andrewの死に寄せられた反応は大変なものでした。Brendan、Mike、Oculusのチームの全員が、考え得る限りのあらゆる形で、実に驚くほど支えになってくれました。チームの皆さんが失ったものの大きさを思うと心から残念に思いますが、私たちは皆さんに最大限の敬意と賞賛、そして感謝をお伝えしたいと思います。前に進み続けなければいけない皆さんの、今後の成功をお祈りしています。

Dana、Bob、Ben

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この奨学金は、Andrew Reisseを偲んでOculus VR、LLCおよびメリーランド州の大学院在学中に出会ったAndrewの両親であるRobert博士(1970年、1976年卒)とDana氏(1973年卒)によって設立されました。寄付金をもとに奨学金を設立し、未来の学生(Terps)がAndrewと同じように世界を変えるチャンスをつかめるように援助します。

Andrew ReisseはNRDC(自然資源防衛協議会)の誠実な一員であり、献身的な環境活動家でした。2005年からその死まで、Andrewは惜しみなくNRDCに寄付を行い、オンラインの行動キャンペーン「Save BioGems」の多くに参加しました。寄付金は、野生生物と野生環境の保護に注力する、NRDCモンタナオフィスにおけるインターンシップの資金になります。

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